自己破産手続きとは借金を全て無くす効果のある、債務整理の中でも最も効果の大きい手続きです。
ですがこの自己破産手続きは手続き中に絶対にしてはいけないNG行為があり、このNG行為をすると不利益が生じてしまいます。
そこで今回は、この”自己破産手続き中のNG行為”についてご紹介します。
自己破産手続き中のNG行為
自己破産手続き中にしてはいけないNG行為とは免責不許可事由にあたる行為の事を指します。
免責とはここでは借金を0にする・支払いを免除する事を指しますが免責不許可事由とは借金を0にすることが出来ない事由のことを指します。
ここではNG行為の具体例についてご紹介します。
自己破産手続き中のNG行為
■特定債権者を優先に返済する行為(偏頗弁済)
■財産を安く売り払う行為(詐害行為)
■クレジットカードの現金化
■違法業者からの借金
■自己破産目的での借金
■借金を隠す行為
■財産の隠匿行為(財産隠し)
■特定の債権者に優先的に返済する行為(偏頗弁済)
自己破産手続きの条件の一つに“債権者平等の原則”債務者にとって債権者は平等で無くてはならないという条件があります。
例えば全額の返済が困難な状況にあるのに特定の友人・身内にだけ返済をする偏頗弁済をすると平等性がなくなり債権者平等の原則に反し免責不許可事由に当たります。
免責不許可事由の中でも多いものですので、注意が必要です。
■財産を安く売り払う行為(詐害行為)
返済をするために財産を安く売り払ったり・個人に譲ったりする行為は“詐害行為”と言い、免責不許可事由に当たります。
詐害行為の期間は条件や個人により細かく異なりますが、詐害行為の合った財産は取り返されます。
借金が返済できない状態での財産売却は控えなければなりません。
■クレジットカード現金化
返済できない状態でクレジットカードで購入した商品や金券を現金化することはクレジットカード会社が一方的に損失を負うため、免責不許可事由に当たります。
■違法業者からの借金
違法業者とは闇金等を指しますが、闇金等の違法業者からの借金も免責不許可事由に当たる可能性があります。
自己破産手続き中でも官報を確認して連絡を取ってきますが、絶対に違法業者から借入れをしてはいけません。
■自己破産目的での借金
借金を返済できない状態にも関わらず自己破産することを前提として借入れが出来るよう積極的に貸金業者を騙す行為は免責不許可事由に当たります。
■借金を隠す行為
上記したように自己破産には債権者平等の原則があるため特定の借金だけを免除することは出来ません。
そのため全ての借金を申告する必要があります。
■財産の隠匿行為(財産隠し)
破産手続きを行う上で財産を隠す行為は最も悪質な免責不許可事由であり、破産詐欺罪にも問われ兼ねません。
財産の隠匿にあたる行為
■家や保険の名義を移す
■口座の預貯金の送金
破産手続きをする前に上記のような行動は絶対にしないようにしてください。
裁量免責にも注意が必要
自己破産では免責不許可事由に該当することをしたからと言って必ずしも免責を受けられないということではなく、裁量免責による免責を受ける事が出来ます。
そのため自己破産手続き中には裁量免責と呼ばれる免責の事項にも注意しなければなりません。
裁量免責とは?
自己破産における裁量免責とは免責不許可事由に該当するものでも借金の経緯や理由を考慮し、裁判所の裁量により免責を受けられること。
裁量免責の余地がある免責不許可事由
裁量免責の余地がある特定の免責不許可事由というのは無く、裁量免責において一般的な基準はありません。
ですがよほど多額であったり浪費による借金が大幅に占める割合でなければ以下のような免責不許可事由でも裁量免責が認められて免責される可能性があります。
裁量免責の余地がある免責不許可事由
■ギャンブルによる借金
■異性との交際目的による借金
■FX/株など投資目的の借金
■外食費用
裁量免責の重要点とは?
裁量免責で最も重要になるのは“免責不許可事由の重大性”と“債務者の姿勢”です。
「借金の原因となった問題行動や問題性を認識・反省し、同じ過ちを繰り返さないか」を裁判所は見て裁量の余地があるかを判断をします。
裁量免責は裁判所の裁量によるものなので債務者がいかに問題に対して真摯に取り組む意志があるかが評価されるので嘘はつかず反省の意思を示すことが重要です。
管財事件になる可能性も
管財事件とは、裁量免責をするために管財人がつく事を指します。
管財人とは
管財人とは裁判所から破産管財人として選任された弁護士で財産の調査・管理・換価・配当などを行います。
また管財事件における管財人は裁量免責をするために債務者の姿勢・現状・問題に対する反省の意思などを確認する役割を持ちます。
管財人の報告は裁量免責の判断に多大な影響を与えるのでしっかりと取り組むようにする必要があります。
裁量免責を受ける上で2つのNG行為
自己破産手続き同様、裁量免責を受ける上でのNG行為もあります。
以下のようなNG行為は免責不許可事由にもあたりますが、すると裁量免責されなく可能性がありますので注意してください。
裁量免責を受ける上でのNG行為
■浪費・ギャンブル・投資
■裁判所や管財人への不適切な対応
■浪費・ギャンブル・投資
浪費やギャンブル・FXや株などギャンブル同然の投資や信用取引は免責不許可事由にあたります。
借金を自己破産で免責しようとしている時に浪費・ギャンブル・FX・株などをやめない場合は裁判所が借金を反省していないとみなします。
■裁判所や管財人への不適切な対応
裁判所や管財人へ以下のような不適切な対応を取ると反省の意思が無いとみなされてしまいます。
不適切と判断される行為
■財産に関わる書類を偽造・捨てる・隠す
■虚偽の財産申告をする
■説明の拒否
■配当の妨害
■自己破産についての質問に応答しない
■調査に協力しない
裁量免責とは本来・免責不許可事由にあたり免責できない借金を裁判所の裁量により特別に免責する特別なものです。
裁判所や管財人に対し上記のような不適切な行動では反省の意思が無いと取られても仕方ありません。
自己破産で無くならない借金に注意!
自己破産で免責を受けると借金は0になりますが自己破産でも無くならない非免責債権というものがあります。
非免責債権とは
免責を受けても公益上の理由や債権者を保護するために免責されない、免責の効力の及ばない一部の債権のこと。
免責を受けて借金が0になっても非免責債権に関しては必ず返済しなければなりません。
また非免責権の自己破産はできません。
非免責債権にあたるもの
非免責債権にあたるものはいくつかありますが例として以下のものがあります。
非免責権に分類される例
■税金
■公共料金(下水道)
■社会保険料(医療,介護,雇用,労災,年金)
■重過失による損害賠償金
■養育費
■罰金
■生命や身体に関わる慰謝料
■従業員の給与
これらは免責を受けても返済の義務が残ります。
非免責債権の判断基準
非免責債権にはいくつかありますが判断基準として金銭を借入れたものであるかどうかが判断基準となります。
例えばクレジットやローンはクレジット会社や信販会社・金融機関への借金にあたるため、非免責債権にはなりません。
まとめ
今回の記事を簡単におさらいします。
自己破産中のNG行為7つ
自己破産中に以下のような行為はNGです。
自己破産中のNG行為
■特定債権者を優先に返済する行為(偏頗弁済)
■財産を安く売り払う行為(詐害行為)
■クレジットカードの現金化
■違法業者からの借金
■自己破産目的での借金
■借金を隠す行為
■財産の隠匿行為(財産隠し)
裁量免責のNG行為2つ
①浪費・ギャンブル・投資
②裁判所や管財人への不適切な対応
裁判所や管財人への不適切な対応
■財産に関わる書類を偽造・捨てる・隠す
■虚偽の財産申告をする
■説明の拒否
■配当の妨害
■自己破産についての質問に応答しない
■調査に協力しない
非免責債権についての注意
非免責債権にあたるものはいくつかありますが例として以下のものがあります。
■税金
■公共料金(下水道)
■社会保険料(医療,介護,雇用,労災,年金)
■重過失による損害賠償金
■養育費
■罰金
■生命や身体に関わる慰謝料
■従業員の給与
非免責債権の自己破産は出来ないため、注意が必要です。
さいごに
自己破産は裁判所が判断したうえで債務者を経済的に再建させるため、債権者が大きな不利益を被る手続きです。
そのことを踏まえた上でご自身の生活を見直す必要があります。
また裁量免責に関しても本来・免責不許可事由にあたり免責できない借金を特別に裁判所の裁量で免責するものですので、適切な対応を心がける必要があります。
そのことを踏まえた上で、自己破産に挑みましょう。
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