債務整理するに当たってご自身の仕事や資産に影響が出るデメリットを気にされる方は多いのでは無いでしょうか?
今回は債務整理するに当たって職業や資産などに出る影響・デメリットを詳しくご紹介します。
債務整理で職業や資格に影響は出る?
債務整理で自身が就いている職業や資格に何らかの影響やデメリットが出るのでは?と心配される方もいらっしゃいますが、任意整理で影響はなく、自己破産や個人再生手続きを行う場合のみ一部制限があります。
裁判所を通さない任意整理では職業や資格に影響が出ることはありません。
一部制限のある職種・資格
債務整理の中でも自己破産や個人再生を行うことで以下のような職種は制限を受けます。
以下のような職種に就いている方は職を失う恐れがあることを頭に入れておかなければなりません。
制限を受ける主な職種・資格
・弁護士
・司法書士
・公認会計士
・税理士
・行政書士
・社会保険労務士
・宅地建物取引主任者
・生命保険外交員
・証券会社外交員
・警備員
・有限会社や株式会社の取締役
・有限会社や株式会社の監査役
・風俗営業書の管理者 …など
資格制限は多くの士業が該当することや卸業者・旅行会社など多岐に渡りますが、一般的に普通に会社勤めをされている方が該当することはほとんどありません。
資格制限を受けると無期限に制限を受ける?
自己破産手続きや個人再生手続きを取ることで職種や資格に制限を受けますが無期限に制限を受ける事はありません。
制限を受けるのは自己破産・個人再生の手続き開始から免責決定までの数ヶ月間で、この期間はその資格を必要とする業務に従事できませんが復権後は再開する事が可能です。
※制限を受ける資格は破産手続き中は取得する事はできません。
復権とは?
※破産法第12章第2節
自己破産破産・個人再生者が宣告により失った権利・資格を回復すること。
・破産者(再生者)の免責決定
・債権者同意による破産手続き廃止決定
上記の決定が決まれば復権(資格を取り戻す)ことは可能。
また資格の制限(資格停止)はありますが自己破産・個人再生により資格が剥奪されることはありません。
会社の取締役・監査役はもう就任できない?
会社の取締役・監査役が自己破産や個人再生を行う場合、民法653条二(委任の終了事由)に当たるため一旦退任しなければなりません。
民法653条(委任の終了事由)
委任は次に掲げる事由によって終了する
一 委任者又は受任者の死亡
二 委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。
三 受任者が後見開始の審判を受けたこと。
但し平成18年5月より取締役・監査役の欠格事由から自己破産者・個人再生者であることが外されたので一度退任をした後、自己破産・個人再生の手続き中であってもすぐに再就任することは可能です。
生命保険の外交員は続けられる?
職業制限を受ける多くの資格の中で破産・再生手続き開始時点で既に資格を取得している場合に限り生命保険の外交員は続けられる可能性(保険業法307条)があります。
但し以下の点に注意する必要があります。
保険外交員を続ける注意点
・保険会社が保険外交員の登録取消しをしていない事
・破産や再生手続が就業規則や誓約書に違反しないこと
保険外交員の登録取り消しがあった場合は無論続ける事はできませんが、登録取り消しは任意のため取り消されないケースもあります。
但し会社によっては就業規則や入社時の誓約書等で解雇自由として定めているケースもありますので、注意・確認が必要です。
会社勤めでクビになる?
一般の企業などにお勤めされている方の場合、債務整理をしたことによって会社をクビになるのでは無いかと心配される方も多くいらっしゃいます。
ですが一部例外を除き基本的に債務整理をすることによって会社をクビになる事はありません。
基本的に債務整理などが会社にバレることは無い
基本的に債務整理(任意整理・自己破産・個人再生)が会社に知られる事はありません。
官報広告などに個人情報が載るため官報公告を確認する会社では知られてしまいますが基本的に一般企業が官報公告を確認するとは考えにくいです。
そのため基本的に債務整理が会社に知られてしまう可能性はほとんど考えにくいと言えます。
就業規則や誓約書には注意
職種や企業によっては就業規則や入社時の誓約書などで破産・個人再生手続きが解雇事由として定められている会社もあります。
誓約書や就業規則で定められている場合は解雇される恐れもありますので、予め就業規則や誓約書の確認は必要です。
金融系の入社・転職にも注意
銀行やクレジットカード・信販会社・消費者金融など金融系の職業に転職・就職する場合は入社時に自社のクレジットカードやキャッシュカードを作らされる事が多くあります。
そうなるとカード作成の際に信用情報を開示するため、債務整理の経緯が知られ転職や就職に差し支える事があります。
債務整理をしたいが仕事が不安…そんな時は?
債務整理を考えているものの仕事をクビになることが無いか・または就業規則や制約内容に差し障りが出てしまう恐れがある…という場合の注意すべきポイントや対処方法をご紹介します。
自己破産・個人再生以外の手段を考える
債務整理の中でもメリットの大きい自己破産・個人再生は、資格制限や財産の没収など影響も大きい手続きです。
任意整理や特定調停などは自己破産などと比較してメリットも少ない手続きですが、そのぶん影響も少ない手続きですので仕事への影響が不安な方の場合は任意整理や特定調停を強く勧めます。
債務整理の専門家に相談
資格制限のような職業に大きく影響を与えるのは主に”自己破産”と”個人再生”のみです。
自己破産や個人再生しか道が無いと思っていても、債務整理を多く扱う弁護士・司法書士に相談することで別の突破口が開けることも多くあります。
職場への交渉を依頼する
中には就業規則や制約で解雇される事態が決まっていたとしても、これまでの功績が認められて資格が復権するまでの間全く別の業務に従事することを認める会社・機関もあります。
会社や団体・機関によって異なりますが、債務整理するに当たって会社との間を取り持つよう担当の弁護士・司法書士に交渉を依頼することも可能です。
資産の処分ではどんな影響が出る?
債務整理の中でも任意整理や特定調停では資産の没収等はありませんが、個人再生と自己破産手続きでは注意が必要です。
全財産は没収されない
自己破産や個人再生をすると全財産を没収される…と心配される方は多いものですが、自己破産をしても全財産が没収される事はありません。
必要最低限な家財道具・家電はあまりに効果なもので無い限り没収される事はありません。
家の処分は手続きによる
原則として自己破産・個人再生はともに持ち家や土地は処分の対象となりますが自己破産は確実に処分されますが、個人再生では住宅ローン特則の利用で家や土地を守る事ができます違。
住宅ローン督促(住宅資金貸付債権に関する特則)とは
自己破産ではすべての債務が整理の対象となりますが、個人再生の住宅ローン特則では住宅ローンを整理の対象から外し、ローンの返済を継続することで自宅やその物件を守る方法。
条件等はありますが、大きくわけると自己破産以外は確実に処分される事はありません。
車は処分される?
自己破産手続きでは車を処分する必要がありますが自動車査定で20万円を超えない車は処分の必要はありません。
また個人再生でも既にローンの終わった車に関して処分の必要はありませんが車のローンが債務整理の対象となり、車の所有権がローン会社にある場合は処分の対象になることがあります。
さいごに
今回は債務整理によって仕事や財産に与える影響についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
ご自身の状況をみて”自己破産(個人再生)しかない…!”と思い詰める方も中にはいらっしゃいますが実際、専門家に相談してみて任意整理や特定調停などで解決できたというケースは多いものです。
借金は時間を置けば置くほど利息や延滞金で膨らみ、打てる手も打てなくなってしまう事が多々あります。
まずは無料で相談してみませんか?
くすの木総合法務事務所では債務整理に関する無料相談を受け付けており、費用の分割支払いなども行っております。まずはこちらからお気軽にご相談ください。
この記事へのコメントはありません。