コラム

過払い金請求の流れ

最近CMや広告でも耳にする事が多くなった『過払い金』ですがいざ請求の手順となるとわからない方も多いのでは無いでしょうか。
そこで今回は過払い金請求の流れを簡単にご紹介します。
過払い金の請求を検討している方は是非お読み下さい。

1.まず過払い金とは

過払い金請求の流れを説明する前に過払い金について簡単におさらいしておきましょう。
過払い金とは『返しすぎた借金』の事で、利息の関係により本来返す額よりも大きく返してしまった借金を過払い金と呼びます。

2010年の出資法改正

2010年に出資法という法律が変わりました。
変わる前の日本には「出資法」と「利息制限法」と呼ばれる2つの法律の間には

  • グレーゾーン金利
  • みなし金利

と呼ばれる『法律上は違法だけど刑事罰がない』金利が存在していました。
今は法律が変わり出資法の上限金利が29.2%から利息制限法の上限と同じ20%になっています。

しかし2010年以前に借金をした人はこの“グレーゾーン金利”や“みなし金利”等で本来払わなくても良い借金の利息を払った、もしくは払い続けてしまっているという事が起こりえます。
これが『過払い金』になります。

過払い金の条件

2010年より前に借金をしていたら必ず過払い金を払ってもらえるかというと必ずしもそうではなく、以下3つのような条件があります。

  • “グレーゾーン金利”に当てはまっているか
  • 過払い金の時効を超えていないか
  • 2010年6月17日より前の借金である事

1つ目、借金の利息が利息制限法の上限を超えた“グレーゾーン金利”に当てはまっているかどうかです。
これを超えていない場合は過払い金は発生しません。

2つ目、過払い金の時効です。
最後に借金を返済した日から10年。
権利を行使できる事を知ってから5年。
どちらかの期間内である事が必要です。
この期間を過ぎていると過払い金の請求は出来ません。

3つ目、2010年6月17日より前の借金である事です。
それより後にした借金について過払い金は発生しません。

2.過払い金請求の流れ

過払い金の請求には下記4つの手順があります。

  1. ①取引履歴の請求
  2. ②引き直し計算
  3. ③貸金業者への請求
  4. ④貸金業者との交渉

ここではその手順について詳しくご紹介します。

①取引履歴の請求

まず借りている貸金業者に今までの自分との取引履歴を請求します。
電話などで連絡しFAXや郵送で取り寄せる事が出来ます。
また直接店舗へ行けば申し込みや受け取りをしてくれる所もあります。

取引履歴を請求する時は理由を聞かれても『過払い金の計算や請求の為』等とは絶対に言わないようにしましょう。
払い過ぎた利息を過払い金として認識していたと主張されて過払い金が少なくなったり最悪の場合は1円も戻って来なくなる可能性があります。
『支払い状況を確認する』等と伝えれば問題なく請求出来ます。
貸金業者によっては手続きに手数料がかかる場合があるので注意しましょう。

②引き直し計算

取引履歴が手元に届いたら引き直し計算をします。
利息制限法に基づいて正確に計算をする必要があります。
ここで計算はとても大事です。
もしミスしてしまうと、少ない額を請求して損をしてしまったり、多すぎる額を請求して貸金業者に支払いを断られてしまうケースがあります。

専用の過払い金計算ソフトもあるので活用しなから慎重に計算しましょう。
計算ソフトにはExcelが必要になるので事前にパソコンに入れておいて使用します。

③貸金業者への請求

計算が終わったら過払い金の額を確認の上『過払い金返還請求書』を作成して貸金業者に送ります。

書式などは特に決まりはありませんが必要事項が漏れるリスクもあるのでWEBなどで雛形を入手して記入したり参考にすると良いでしょう。

送る際は確かに過払い金返還請求書を送った証拠を残す為に『内容証明郵便』で送りましょう。
内容証明郵便は、文字数に応じて料金がかかり書留扱いになる為、通常より料金は少し高いです。
ですが貸金業者は請求を無視出来なくなる為、その為の必要経費と考えましょう。

④貸金業者との交渉

過払い金返還請求書を送ると貸金業者から連絡が来ます。

ですが貸金業者はすんなりと請求通りに満額の過払い金を払おうとはまずしません。
和解交渉に持ち込み過払い金を減額しようとしてきます。

『過払い金を請求するのは当然の権利である』と断固として主張しましょう。

この段階で貸金業者が交渉に応じてくれれば良いですが、そうならない場合は裁判になります。
裁判になった場合は以下のような費用がかかります。

  • 印紙代 (金額は請求金額によって変わる)
  • 郵券代 (裁判所によって違うが6000円程)
  • 登記簿謄本取得費用 (申請に600円)

裁判での勝訴を勝ち取るか和解の成立で過払い金の入金が行われます。

入金される事が決まってもすぐに振り込んで貰える訳ではありません。
貸金業者によって違いはありますが少なくとも2ヶ月以上はかかると覚悟しておいた方が良いでしょう。

3.過払い金請求の注意点

過払い金請求にはいくつかの注意点やリスクが存在します。

①ブラックリスト

過払い金を請求するとブラックリストに乗る場合があります。
それは『返済中に過払い金を請求した金額より残りの借金の方が多い』ケースです。
この場合は貸金業者と借金減額について交渉する『任意整理』という状態になるのでブラックリストに乗ってしまいます。
ブラックリストに乗ると一定期間ローンが組めなくなったりクレジットカードの審査に落ちたり様々な弊害があります。

②回収できないケース

過払い金を請求しようにも請求先の貸金業者が倒産している場合は返還請求自体が出来ません。

また過払い金を請求してもまだ残っている借り入れがある場合、貸金業者はそれを帳消しにする代わりに過払い金の支払いを逃れようとするケースがあります。
一見都合が良さそうに聞こえるその提案に乗ってしまうと本来支払いが帳消しにどころか帰ってきた筈のお金を損失してしまう結果になります。

また自分で過払い金を請求する場合、慣れない手続きに手間取ってしまったり、貸金業者から対応を後回しにされている内に時効が成立して貸金業者が過払い金を払わなくても良い状態になる事もあります。

③手続きが上手く行かない

最初にやるべき取引履歴の請求が借金から長い時間を経ていたが為に貸金業者が記録を処分してしまっていたが為に出来ないケース。

この場合、推定計算という作業を必要としますがとても難しく専門家を頼らない場合は厳しいです。

また引き直し計算が間違っている、貸金業者との対応や裁判での立ち回りが上手く行かない等、様々な手続き上のトラブルはつきものです。

4.リスクやトラブルを避ける為に。

上記の問題は起こってしまうと時間も取られますし労力も使います。

過払い金の交渉には専門知識が必要な場合が多く、複雑でミスが許されない計算等もあります。

ここまで説明した事の中で一つでも見落としがあれば貰えるお金が減ってしまったり払ってもらえなくなったりしますので、解決方法をその都度探して対応するのも大変です。

そのリスクや時間的なコストを考えると経験と知識のある専門家にキチンと相談してちゃんと満額貰えるようにする方が結果として金銭的にも心理的にも余裕が出来ます。

もし電話での交渉などに応じてもらえずに裁判になる場合、書類を揃えたり出廷する時間を短縮出来ますので生活への負担が減るのもメリットです。

多くのデメリットは専門家への相談で解決するのです。

もし過払い金の事で悩んでいる、相談したいという場合、くすの木総合法務事務所に是非一度ご相談下さい。

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